
かつて日本中を騒がせた「ヒアリ騒動」。南米原産で猛毒を持ち、人にも家畜にも脅威とされてきたヒアリですが、最近ではニュースでもその名を聞かなくなりました。一体、なぜヒアリは姿を消したのでしょうか?完全に根絶されたのか、それとも潜伏しているだけなのか?今回は「ヒアリがいなくなった理由」について、5つの視点から解説していきます。
1・徹底した駆除活動
まず最も大きな理由が、行政と民間が連携した“徹底的な駆除活動”です。2017年に国内で初確認されて以降、全国の港湾や物流拠点にモニタリング用のトラップが設置され、ヒアリが確認され次第、即座に殺虫剤を使用した駆除が行われました。
特に女王アリの駆除が徹底され、定着前に巣ごと排除されるケースが大半でした。また、専門家や自治体職員が全国で啓発活動を行い、市民の通報体制も整ったことで、早期発見・早期対処が可能となったのです。この一連の連携が、日本での定着を防いだ大きな要因です。
2・気候条件の不適合
日本の“気候”もヒアリの定着を阻む一因です。ヒアリは暖かく乾燥した気候を好みますが、日本は高温多湿で四季があり、特に冬の寒さはヒアリにとって致命的です。ヒアリの女王や卵は、ある程度の温度が保たれなければ冬を越すことができません。
一部の都市圏ではヒートアイランド現象によって生存の可能性が指摘されましたが、それでも長期的な定着には至りませんでした。この“気候バリア”が、自然の防御線として機能したわけです。
3・天敵や在来種との競争
ヒアリにとって、日本はすでに多くのアリ類が生態系を築いている“競争の激しい環境”です。在来のアリは縄張り意識が強く、外来のアリが侵入してくるとすぐに排除しようとします。また、餌資源の奪い合いも起き、外来のヒアリが十分な食料を確保できないケースも多いのです。
生態系内でのこうした“競争”は、ヒアリの巣作りや女王の繁殖活動を妨げ、日本での定着を難しくしてきました。自然界での抗争も、ヒアリ排除に一役買ったのです。
4・ヒアリの天敵在来種クロヤマアリ
在来種の“クロヤマアリ”は、ヒアリにとって最大級のライバルとも言える存在です。クロヤマアリは攻撃性が高く、集団で行動するため、少数で侵入してきたヒアリの部隊を撃退してしまいます。
また、クロヤマアリは自分たちのテリトリーに他種が入ることを極端に嫌うため、巣の周辺にヒアリが近づくことさえ許さないのです。このように、在来種との“防衛戦争”に負けたヒアリは、巣を作る前に壊滅させられてしまうのです。
5・ヒアリの天敵:ハエトリグモ、アシダカグモなど
さらに、日本に多く生息する“クモ類”もヒアリの天敵として重要な役割を果たしています。特に、ハエトリグモやアシダカグモなどは、ヒアリのような小型の昆虫を好んで捕食します。ヒアリが移動中や巣作りのために地表をうろついていると、これらのクモに襲われるリスクが高くなります。
クモたちは夜行性で、ヒアリの活動時間帯とも重なっているため、夜間の生存率が著しく下がります。こうした“地味だけど強力な捕食者”の存在も、ヒアリの定着を防いだ陰の立役者なのです。
【まとめ】
日本でヒアリが定着しなかったのは、単なる偶然ではありません。徹底した駆除活動、自然環境の不適合、在来種との競争、そして天敵の存在。
人間と自然の両面から、ヒアリの侵略は強力にブロックされてきました。とはいえ、完全に油断するのはまだ早い。国際物流が続く限り、再侵入の可能性はゼロではありません。これからも監視と対策が必要です。
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