鯉に食べられたハリガネムシはどうなる?

鯉に食べられたハリガネムシはどうなる?

皆さんは「ハリガネムシ」という寄生虫をご存じでしょうか。カマキリなどの昆虫を操り、水辺に誘い込む恐ろしい存在として有名です。

しかし、そんなハリガネムシも時にカマキリを食べた魚に一緒に飲み込まれてしまうことがあります。では、鯉などの魚に食べられてしまったハリガネムシはどうなるのでしょうか?今回はその意外な運命について、5つのポイントに分けてご紹介します。


1・基本的には消化されて死ぬ

鯉などの魚に飲み込まれたハリガネムシは、まず胃に送り込まれ、強力な消化液にさらされます。魚の胃液や消化酵素は、昆虫や寄生虫の体を分解する力を持っています。そのため、ハリガネムシは体表のキチン質やタンパク質を次第に溶かされ、ほとんどの場合は短時間で消化されてしまいます。

もともとハリガネムシは水中で繁殖する生き物ですが、魚の消化器官の中では生存に必要な環境を保てません。つまり、に食べられたハリガネムシの運命は「ほぼ確実に胃で消化されて死ぬ」というのが自然の流れなのです。


2・まれに脱出しようとすることもある

ただし、ごくまれに、魚に食べられたハリガネムシが胃の中で動き回り、脱出を試みるケースも報告されています。特にまだ生きていた場合、強い筋肉運動で魚の口から逆流しようとしたり、消化管の壁に沿って移動することがあるのです。

しかし、その成功率は極めて低く、多くの場合は途中で力尽きてしまいます。仮に体外に出られたとしても、魚がすぐに吐き出すなどしなければ再び水中に戻るのは難しい状況です。つまり「脱出できる可能性はゼロではない」が、現実的にはほとんどが消化される運命にあるといえます。


3・魚の体内で生き続けることは基本的にない

一部の寄生虫は魚の体内で成長し、長期間生き続けることができます。しかし、ハリガネムシにはその能力がありません。彼らは昆虫を操って水に帰るために進化した生物であり、魚の体内という閉ざされた環境では、成長も繁殖もできないのです。

もし一時的に胃の中で動いていたとしても、やがて消化液に分解され、完全に栄養分として吸収されてしまいます。つまり、ハリガネムシが魚の臓器に寄生して長期間生存することはあり得ず、「魚に取り込まれた時点でほぼ終わり」なのです。


4・魚や人間の体に寄生する能力はない

よくある誤解として「ハリガネムシが魚や人間に寄生するのではないか」という心配があります。しかし、ハリガネムシは宿主として選ぶのはカマキリやバッタなどの昆虫であり、魚や哺乳類の体に適応する仕組みは持っていません。つまり、魚の内臓に長く住み着くことも、人間の体内で繁殖することもできないのです。

万が一生きたまま飲み込まれたとしても、その場限りで消化され、やがて死んでしまいます。恐ろしく見える生き物ですが、実際には寄生の対象が限られており、人間や魚にとって持続的な脅威になることはないのです。


5・人間が誤飲しても消化されて死ぬので無害

最後に、人間との関係について触れておきましょう。川遊びや虫取りの際、誤ってハリガネムシを飲み込んでしまうことを心配する声もあります。しかし、ハリガネムシは人間の体に寄生できず、胃酸によって速やかに消化されます。

人間の胃液は魚以上に強力で、寄生虫の体を短時間で分解してしまうのです。そのため、誤って飲み込んだとしても体内で生き続けることは不可能で、健康被害も基本的にはありません。見た目のインパクトから恐ろしく思われがちですが、人間にとっては「ただの異物」であり、害はないのです。


まとめ

に食べられたハリガネムシの運命は、ほとんどの場合「消化されて死ぬ」という単純なものです。まれに脱出を試みても成功率は低く、魚や人間の体内で寄生して生き続ける能力はありません。

人間が誤飲しても同様に消化されてしまうため、恐ろしい存在に見えても実際には無害です。つまり、ハリガネムシは自然界の中で昆虫を操る特殊な存在ではあっても、魚や人間にとっては一過性の異物にすぎないのです。

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