
カマキリの交尾は、まさに命がけ。オスにとって恋のチャンスは、生き延びられるかどうかのギリギリの綱渡りです。
なぜなら、相手は恐ろしくも美しい?「捕食者」でもあるから。
交尾中に食べられることも珍しくなく、時には頭を失っても行動を続けるという驚きの習性まであります。今回は、そんなカマキリたちの知られざる愛の舞台裏を5つのポイントで解説します。知れば知るほど、そのドラマチックさに驚くこと間違いなしです。
1・メスがオスを食べる「性的共食い」
カマキリの交尾で最も有名なのが、メスがオスを食べてしまう「性的共食い」です。これは単なる残酷な行為ではなく、メスにとって重要な栄養補給手段でもあります。繁殖期のメスは卵を育てるために大量のタンパク質を必要とし、たまたま近くにいるオスは格好の栄養源となってしまうのです。
特に交尾中に捕食されるケースは多く、オスが逃げ切るにはかなりの運と技術が必要です。この行動は自然界では一定の意味を持ち、メスが強く健康な卵を残すための戦略とも考えられています。
2・オスは首を喰われても交尾続行
驚くべきことに、オスは首を喰われても交尾を続けることがあります。カマキリの交尾行動は脳だけでなく、腹部の神経節によって制御されており、頭を失っても交尾を完遂できるのです。
むしろ頭を失ったことで恐怖や警戒心が消え、動きが活発になるケースもあります。この現象は一見悲惨に見えますが、生物学的には「自分の遺伝子を残すために最後までやり抜く」戦略です。命の最後の瞬間まで繁殖に全力を尽くすオスの姿は、自然界の厳しさと執念深さを象徴しています。

3・オスは命を守るために慎重にメスに接近
もちろん、オスもただやられるだけではありません。交尾のためにメスへ近づくとき、オスは非常に慎重な行動を取ります。まずメスの背後からそっと忍び寄り、警戒心を与えないように距離を詰めます。そしてメスが食事中や落ち着いているタイミングを狙って接触します。
この慎重さが生存率を大きく左右し、うまくいけば交尾後に逃げ延びられる可能性も高まります。しかし一歩間違えば捕食対象と見なされ、一瞬で命を落とすリスクがあるため、オスの接近はまさに命がけのミッションなのです。
4・メスが栄養不足の時に共食い率が上がる
性的共食いの発生率は、メスの栄養状態に大きく左右されます。研究によると、栄養が十分に足りているメスはオスを捕食する確率が低くなりますが、飢えているメスほど共食いを行う傾向が強まります。
これは単純に栄養確保のための行動であり、繁殖に必要なエネルギーを確保するための合理的な戦略です。そのため、飼育下でメスに十分な餌を与えておくと、共食いを防げることがあります。野生では、餌の少ない環境ほどオスにとって危険な交尾の舞台となります。
5・オスは複数回の交尾を狙うことがある
一度の交尾で満足せず、複数回の交尾を試みるオスもいます。これは遺伝子をより多く残すための戦略で、同じメスや別のメスとの繁殖機会を最大化しようとする行動です。ただし、再びメスに近づくことはさらに危険で、前回以上に警戒される可能性があります。
それでも一部のオスはリスクを承知でアタックを繰り返し、運よく複数回の繁殖に成功するケースもあります。この行動は「命を懸けても子孫を残す」という、自然界の本能的なプログラムの強さを物語っています。
【まとめ 】
カマキリの交尾は、単なる繁殖行動ではなく、命を賭けた壮絶なドラマです。メスによる性的共食いや、首を失っても交尾を続けるオスの執念、慎重な接近戦術など、その一部始終は驚きと発見に満ちています。
栄養状態による行動の変化や、複数回の交尾を狙う果敢な試みも含め、カマキリたちは限られたチャンスに全力を注ぎます。この姿は、自然界における「生きる」と「残す」という本能の究極形ともいえるでしょう。
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