
見た目は小さくて愛らしいスズメ。日本全国どこでも見かける、私たちにとって身近な野鳥です。しかし、そんなスズメにも、実は「性格が悪い」「性悪だ」と言われてしまう一面があるのをご存じでしょうか?
今回は、そんなスズメの意外な裏の顔に迫ります。自然界のしたたかさとたくましさを垣間見る5つのエピソードをご紹介。可愛いだけじゃない、スズメの本性をどうぞご覧ください!
【1・他の鳥の巣を乗っ取ることがある】
スズメは自分で巣を作ることもありますが、時に他の鳥の巣を乗っ取ってしまうことも。特にシジュウカラなどの小型鳥の巣が狙われやすく、巣材をそのまま使ったり、時には卵やヒナを追い出して自分の子育てに利用するケースもあります。
これは生存競争の一環ともいえますが、被害にあった側からすれば迷惑な話。こうした行動から、スズメは「ずる賢い」「性悪だ」といったイメージを持たれることがあります。自然界の厳しさを感じさせる一面です。
【2・餌場で喧嘩しがち】
スズメは群れで行動することが多く、エサ場では常に小競り合いが発生しています。パンくずや種などを巡って、つつき合い、追い払う姿はよく見かけます。一見、微笑ましくもありますが、よく観察するとかなり激しい攻防戦。
特に栄養価の高いエサを見つけたときは、仲間でさえ容赦なく押しのけることも。小さな体ながら、自己主張はかなり強め。この遠慮のなさが「意地悪」や「性悪」だと受け取られてしまうこともあります。
【3・繁殖期に縄張り争いが激しい】
春先の繁殖期、スズメたちはパートナーとともに巣作りに励みますが、同時に縄張り争いも激化します。オス同士がピーピーと鳴き交わしながら、激しく威嚇し合う姿はまさにバトルそのもの。時には実際に羽を広げて突進し合い、相手を追い払おうとします。
こうした攻撃性の強さは、より良い繁殖環境を確保するための本能的行動ですが、人間の目には「気が強すぎる」「協調性がない」と映ることも。この争いっぷりが“性悪”イメージの一因となっています。
【4・鳴き声がけたたましく、騒がしい】
スズメの鳴き声といえば「チュンチュン」。可愛らしいと思われがちですが、実際にはかなりの音量で、しかも頻繁に鳴きます。特に集団で騒ぎ始めると、そのけたたましさはなかなかの騒音レベル。
住宅街や電線、軒先などで数十羽が一斉に鳴き始めると、近所迷惑に感じる人も少なくありません。かわいい見た目に反して、実はかなりの“うるさ型”。この鳴き声の存在感が、スズメを「騒がしくて迷惑な鳥」と思わせてしまう原因になっているのです。
【5・人間の生活圏でも大胆にふるまう】
スズメは人間に対して極めて図太い性格をしています。公園のベンチ、コンビニ前、カフェのテラス席――人のすぐそばまで近づき、エサを物色する様子は、慣れているというより“図々しい”レベル。
まったく警戒せずに食べ物を狙ったり、ゴミ箱をあさることも。自然の中で暮らす他の鳥と比べて、人との距離感がまるで違います。この大胆さが「厚かましい」「遠慮がない」と思われ、「性悪」というレッテルにつながることもあるのです。
【まとめ・】
スズメの「性悪」と言われる理由、それは自然界で生き抜くための知恵と行動力の裏返しでもあります。他の鳥の巣を利用するずる賢さ、餌場での強引さ、縄張り意識の強さ、鳴き声の大きさ、そして人間社会での大胆さ――どれも生き残るために磨かれた本能です。
小さな体に宿るしたたかさは、ある意味でたくましさの象徴。可愛さの裏にある“本性”を知れば、スズメの見方が少し変わるかもしれませんね。
にっぽんのスズメ [ 小宮輝之 ]
にっぽんスズメ歳時記 WE・SUZUME! [ 中野さとる ]
すずめのまる [ かんちくたかこ 文 ]